BtoBのCVR平均は何%?比べる前に見る分母と分子

2026/8/7

BtoBのCVR平均は何%?比べる前に見る分母と分子

「BtoBのCVR平均は1%前後」と書いている記事もあれば、「8%を超える」と書いている記事もあります。どちらも間違いではありません。数えている分母と分子が違うだけです。

CVR(コンバージョン率)とは、分母に置いた母集団のうち、目的の行動に至った件数の割合のことです。BtoB(企業間取引)ではこの置き方が書き手ごとに違うため、平均値と自社の数字を並べても高い・低いは判定できません。

この記事では、引用される平均が何を数えた数字なのかを分解したうえで、自社のCVRを比較できる形に組み直す手順を説明します。

「BtoBのCVR平均」は1つの数字にならない

「BtoBのCVR平均」に単一の正解値はありません。数値が1%前後から8%超まで散らばるのは、書き手ごとに分母(全セッションか、広告クリックか)と分子(資料ダウンロードか、問い合わせか、商談化か)が違うためです。同じ「CVR」という3文字で、別の割り算の結果が並んでいます。

よく使われる取り方 数字への影響
分母 サイトへの全セッション / 特定チャネルのセッション / 広告クリック 絞るほど数字は大きくなる
分子 資料ダウンロード / 問い合わせ・デモ申込 / 商談化 / 受注 後段になるほど数字は小さくなる

分母を広告クリックに絞り、分子を資料ダウンロードに置けば、CVRは高く出ます。分母を全セッションにして分子を商談化に置けば、同じサイトの同じ月でも桁が2つ下がります。比べる前に決めるのは、自社の数字がどの分母をどの分子で割ったものか、です

CVRそのものの計算式はCVRとは|意味・計算式と最初の確認先で扱っています。

よく引用される高いCVRは、広告クリックを分母にした数字

業種別のCVRとして引用される数値の多くは、検索広告の実績値です。分母は「広告をクリックした人」に限られ、広告を経由しない訪問は最初から含まれていません。LocaliQが公開している検索広告のベンチマーク(2026年8月確認)では、全業種平均8.18%、法律サービス5.55%、ビジネスサービス4.85%、金融・保険2.64%とされ、その定義は「獲得したリード数をクリック数で割ったもの」と同ページに明記されています(出典: LocaliQ「Search Advertising Benchmarks」)。

検索広告のクリックを分母にしたCVRと、サイトへの全セッションを分母にしたCVRでは母集団が違う 図1: 同じ「CVR」でも、分母が違えば比較は成立しない

自社がアクセス解析で見ているCVRの分母は、サイトへの全セッションです。BtoBサイトのその中には、次のような訪問が混ざっています。

  • 既存顧客のサポート記事閲覧・ログイン
  • 採用情報を見に来た求職者
  • 取引先・同業他社の閲覧
  • 除外設定を入れていない社内メンバーのアクセス

母集団が違う数字を並べた時点で、高い・低いの判定は成立しません。8.18%を見て自社の0.5%を低いと感じたなら、それは比較ではなく、別種の数字を引き算しただけです。

BtoBは「CVをどこに置くか」で数字が一桁変わる

BtoBの購買は、資料を集める→社内で共有する→相談する→稟議を通す、と段が長く続きます。その途中に複数のCV地点があるため、同じサイトの同じ1ヶ月のデータからでも、分子の置き方しだいでCVRは一桁以上変わります。

1ヶ月のセッションが10,000だった架空のサイトを例にします。

分子に置く段 件数 CVR
資料ダウンロード 180 1.8%
問い合わせ・デモ申込 25 0.25%
商談化 8 0.08%

※数値は説明のための架空例です。

同じ1ヶ月のデータでも、どの段を分子に置くかで3つの異なるCVRが出る 図2: 同じデータから出た3つの「CVR」。1.8%と0.08%の開きは、分子の置き方だけで生まれている

上下で20倍以上の開きがあります。「うちのCVRは0.3%です」という報告は、どの段を分子にしたかを言っていない限り、社内でも比較できない数字です。他社と比べる以前に、先月の自分とも比べられません。

自社のCVRを、比べられる形にする3ステップ

比較できる数字にするために決めることは3つです。分母を割る、分子を段ごとに全部出す、比較先を先月の自社に置く。他社の平均を探さなくても、自社のどこが弱いかを数字で名指しできるようになります。

ステップ1: 分母を割る

自然検索・広告・指名検索・メール経由をまとめて1つの分母にしません。採用ページやサポート・ログイン導線への流入も分母から外します。BtoBサイトではこの層が想像より多く、まとめたままだと分母だけが膨らみ、CVRが実態より低く出ます。

ステップ2: 分子を段ごとに全部出す

資料ダウンロード、料金ページ到達、問い合わせ・デモ申込、商談化を1つの表に並べ、段と段のあいだの通過率を出します。どの段で人が消えているかは、段別に並べて初めて見えます

ステップ3: 比較先を「先月の自社・同じチャネル同士」にする

他社平均は定義が分からない以上、物差しになりません。先月の自社なら分母も分子も自分で決めた定義のままなので、差が出れば理由を探せます。広告と自然検索のようにチャネルをまたぐ比較も、母集団が違うので分けたままにします。

自分のサイトは、どの段で止まっていそうでしょうか。無料でCVR診断すると、段別の数字を出す前に、落ちる原因になりやすい箇所をまとめて確認できます(結果はメールでお届け)。

段ごとに出すと、詰まりは「受け皿が1つしかない」ことに集まる

段別に並べると、多くのBtoBサイトは最初の段(来訪→何らかのCV)で落ちています。原因は情報量の不足よりも、渡せる受け皿が「お問い合わせ」しか用意されていないことにあります。訪問者の多くはまだ相談したい段階になく、情報を集めて社内に共有するために来ているからです。

営業と会う約束しか置いていなければ、CVRが低いのではなく、計測されないまま帰られているだけです。検討段階ごとの受け皿は、たとえば次のように分かれます。

訪問者の段階 用意されていると渡してもらえる受け皿
課題を調べている 課題整理の資料・チェックリスト
手段を比較している 機能比較表・導入事例集・料金の目安
社内を説得している 稟議用の説明資料・見積もりの雛形
相談したい 問い合わせ・デモ申込

受け皿が1つしかないサイトでは、段別の通過率を出しても、動かせる対象が1つしかありません

「個別にお見積もり」だけの料金ページで落ちている人がいる

料金ページに「個別にお見積もり」しか書かれていないと、比較検討中の相手は予算に収まるかを判断できず、社内に持ち帰れないまま候補から外します。価格を確定表示できない事情があっても、目安として機能させる方法はあります。CVR改善ラボが料金ページを見るときに確認しているのは、次の3つが揃っているかです。

  • 下限: 「月額5万円〜」のように、最小構成での金額
  • 含まれる範囲: 「10ユーザーまで/初期費用0円」のように、その金額で何ができるか
  • 変わる条件: 「利用規模・システム構成によって変動」のように、金額が動く要因

価格を確定表示できなくても、下限・含む範囲・変わる条件の3つがあれば目安として機能する 図3: 「個別にお見積もり」だけの料金ページと、3つの情報を足した料金ページ(金額は説明のための架空例)

この3つがあれば、読んだ人は「自社の規模なら概ねこのくらい」と当たりを付けられます。全面公開か非公開かの二択で考えるのをやめる、が実務的な着地点になります

「営業されそう」を消すと、同じフォームでも渡してもらえる

BtoBのフォームの前で効いている不安は、項目数の多さより「入力したら電話がかかってくる」のほうです。この不安は項目を減らしても消えず、送信したあと何が起きるかが具体的に書いてあるときに消えます。フォームの直前、CTA(申込みボタンなどの行動喚起)の近くに置くのは次の3つです。

  1. 返信の手段と時間(「2営業日以内にメールでご返信します」)
  2. 電話をしない旨(「お電話でのご連絡はいたしません」)
  3. 資料請求と商談打診の切り分け(「資料のみのご請求も歓迎です」)

同じ内容が別ページの個人情報保護方針に書いてあっても、ここでは効きません。不安が生まれる場所と、それを打ち消す文言が置かれている場所が離れているためです。オファーの内容を変えずに手を入れられる、数少ない箇所になります。

まとめ: 物差しは他社の平均ではなく、自社の段別通過率

BtoBのCVR平均は、分母と分子が揃わない限り比較の物差しになりません。代わりに置く物差しは、自社の段ごとの通過率と、同じチャネルで見た先月の自分です。

段別に出せば、「受け皿が問い合わせしかない」「価格の目安がない」「営業される不安が残っている」のどれで落ちているかまで降りられます。平均値を探す時間は、この分解に使ったほうが早く着きます。

訴求構造そのものの見直し方はCVR改善 完全ガイドに、フォーム側の離脱対策は会員登録の離脱を防ぐ方法にまとめています。

CVR改善ラボの無料診断が引き受けられるのは「落ちる理由」の側

段別の通過率は、自社のアクセス解析からしか出せません。一方で、その数字が落ちる理由の側は、サイトを外から見れば観測できます。「どこで落ちているか」は自社のデータの仕事で、「なぜ落ちるか」は画面を見れば分かる仕事です

分かること どこから出すか
どの段で何人落ちているか 自社のアクセス解析(段別通過率)
価格の見せ方・フォーム・CTA・モバイル表示・表示速度 サイトの画面そのもの

CVR改善ラボの無料診断は、サイトのURLとメールアドレス、主なCV地点を入力すると、サイトの弱点を100点満点の点数と項目別の内訳で返します。落ちている段のページを診断にかけると、数字と原因が線でつながります。

観点を一つずつ照らし合わせるのは手間がかかります。無料でCVR診断すると、この記事で挙げた料金ページ・フォーム・受け皿の観点をまとめて確認できます(結果はメールでお届け)。

CVR改善ラボのフルレポートは、実際どんな形で届くのか

無料診断で届くのは、点数と主要な課題の要約までです。フルレポートでは、全10観点の課題が優先順位付きの一覧になり、画面の変更で改善できる上位3件にはBefore/Afterのワイヤーフレームモックが付きます。課題ごとに「どこをどう直すのか」が画面の形で残るので、社内共有や制作会社への指示の叩き台としても使えます。

項目 内容
診断範囲 全10観点
課題一覧 優先順位付きで一覧化
ワイヤーフレームモック 画面変更で改善できる上位3件までBefore/After(ブラウザ上で編集可能)
改善ロードマップ 何から着手するかの提案
価格 4,980円(税込・買い切り、継続課金なし)
納品方法 メールでお届け(非同期)

入口は無料診断です。サイトのURLとメールアドレスを入力して申し込むと、診断結果がメールで届きます。届いた内容を見てから、フルレポートに進むかどうかを決められます。

無料診断でレポートの中身も確認すると、この記事で挙げた段別の落ち方を、自社のサイトに当てはめて確認できます。

あなたのサイトはどうですか?

この記事の観点を含め、あなたのサイト(最大5ページ)を無料で本格診断し、結果をメールでお届けします。

この記事を書いた人

CVR改善ラボ 診断ロジック設計者

CVR改善・UX設計・データ分析・Webマーケティングの実務経験10年以上。株式会社リクルートで予約サービス・学習サービスのプロダクトマネージャー、集客LP責任者を務め、CVR改善により複数の社内表彰を受賞。現在は大手コンサルティングファームでコンサルタントとして従事。

実務で積み上げた判断基準をCVR改善ラボの診断ロジックに実装し、設計者本人と同じ精度で課題を拾えること、さらにその先を目指して日々改良中。本記事の内容も、診断で実際に使っている判定基準からの書き起こし。

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